白浜夏のセミナー(2024/09/26-27)
京都大学で海に関する研究を行っているのは、私たち海洋物理学研究室だけではありません。京大の海仲間の研究室のひとつである、京都大学防災研究所(以下、防災研と略記) 沿岸災害研究分野のみなさんとの合同セミナーが防災研の白浜海象観測所で行われました。沿岸災害研究分野からは森先生、志村先生、宮下先生をはじめ教員、研究員、学生のみなさん総勢20名ほど(!)が、白浜観測所からは馬場先生、今井先生が参加されました。海洋物理学研究室からは、吉川先生、学生3名(博士1名、修士2名)の少数精鋭で参加してきました。
この合同セミナーは2019年の夏、白浜観測所で始まりました。初回から中身の濃いセミナーと懇親会が行われ、充実したイベントとなりました。夏の白浜でスタートしたセミナーでしたが、すぐにコロナ禍となってしまい、初回以降は冬の京都(吉田・宇治)開催が続いていました。今回は5年ぶりに夏の白浜での開催でした!
セミナーが行われた白浜海象観測所(HPから引用)
セミナー前に和歌山ラーメンで腹ごしらえ
白浜観測所でのセミナーでは、沿岸災害研究分野から4件、白浜観測所から1件、海洋物理学研究室から1件の合計6件の研究発表があり、最後には馬場先生から白浜観測所の紹介がありました。どの発表も研究対象には「海」が関係し、手法(数値シミュレーションや観測データの解析など)にも共通点が多く見られましたが、研究を進める際の視点(「理学的」か「工学的」か)で研究の道筋や方向性に違いが出ることを実感しました。そんな共通点も相違点もある参加者の前での研究発表では、様々な視点からの活発な質疑や議論が行われ、予定のスケジュールを超過してしまうほどでした。時間を気にしすぎずに議論ができるのはこのような合宿形式のセミナーならではの良さだと思います。また、沿岸災害研究分野のメンバーには海外の方も多いため、英語での質疑や議論も行われました。英語の質疑は、学会などの緊張感のある場では焦ってしまいますが(どんな場でも堂々とできれば一番なのですが…)、今回のセミナーはおおらかな雰囲気だったので過度に緊張することなく臨むことができ、英語を使う練習という意味でも大変良い機会に恵まれたと思います。最後の白浜観測所の紹介では、観測所の歴史(当初は海洋物理学研究室が所有し、のちに防災研に移ったことなど!)や田辺湾に設置されている観測塔(田辺中島高潮観測塔)の説明等がありました。
セミナーの後は、参加者全員での懇親会を行いました。白浜の美味しいごはんとお酒のおかげで、研究室の垣根を超えて学生同士、先生方との話も弾みました(話に夢中で全く写真が残っていないことを後悔しています…)。2時間の懇親会では話は尽きず、白良浜での二次会へと繰り出すのでした。宿に帰って温泉で疲れを癒し、初日を終えました。
セミナー参加者の集合写真
翌日は自由行動ということで、まずは朝から温泉で体を温めて、白良浜での海象観測を行いました。波打ち際で波の撮影等をしていると、沿岸災害研究分野の志村先生の本格的な朝ランニングに遭遇するという偶然もありました。その後、南方熊楠記念館、京大白浜水族館、三段壁洞窟を訪れました。南方熊楠記念館では博物学者南方熊楠(1867-1941)の生涯や現在の研究との違いに驚きました。学術雑誌に掲載の論文を手書きで書き写したノートの展示が特に印象的でした。現在は、論文はインターネットでダウンロードしたり図書館でコピーしたりして簡単に手元に置けて便利なものだと思いました。京大白浜水族館は京大の関係者なら無料で入館でき、白浜周辺の海の無脊椎動物を中心とした生き物が展示されています。海中から回収した観測機器に付いていたフジツボはこういう名前なのか…なんてことを思いながら楽しくまわりました。
朝の白良浜での海象観測
南方熊楠記念館から見えた防災研の観測塔(田辺中島高潮観測塔)
お昼は白浜の美味しい海鮮で満腹に(熊野路丼と煮魚定食)
そしてなんといっても予想以上に面白く、一番印象的だったのは海に面した絶壁(三段壁)に広がる三段壁洞窟です!この洞窟内には大迫力で波が押し寄せてきます。どれだけ見ても見飽きることがなく波しぶきを浴びながら大興奮でした。今回訪れたのは小潮の満潮の時間帯でしたが、大潮の満潮だったらこれ以上の大迫力なのか、海況との関係はどうなっているのかなどなど考え出すと色々と面白そうです。三段壁洞窟を最後に京都へと帰りました。
三段壁洞窟から見た海
三段壁洞窟で大はしゃぎ